November 22, 2013

茶陶三昧~三井、五島、根津を巡る

131123_zanmai_2

先週は「茶陶三昧~三館めぐり」を巡りました。

三井記念美術館(日本橋)、五島美術館(世田谷)、根津美術館(南青山)の3つの合同企画展。三館を巡ると年末から来年に開催される展覧会の招待券をいただける。

それはともかく茶道具の中心となる茶碗をこんなに一気に見るのは初めて。貴重な体験となりました。

131123_mitsui

まず、三井記念美術館。国宝の茶碗を観るなんてあり得ない、そんな気持ちで訪ねる。桃山後期の茶碗が一堂に。志野、黄瀬戸、瀬戸黒、織部の岐阜県美濃地方で焼かれた茶碗。比較しながら観ることで、産地の特徴を吸収。

131123_goto

次に、五島美術館。本阿弥光悦の特別展。書跡、陶芸、漆芸、出版など。

131123_ido

3つ目は、根津美術館。「井戸茶碗~戦国武将が憧れたうつわ」。16世紀に朝鮮半島から渡来した井戸茶碗。

おそらくこれだけの井戸茶碗が一堂に会するのは何十年に1度あるかないかであろう。織田信長から柴田勝家へ。豊臣秀吉から家臣へ。まさに戦国武将が命をかけて所持した井戸茶碗。

個人の所有が多いのに驚いた。余計にいま鑑賞しなければなかなか観ることのできない井戸茶碗です。

| | TrackBack (0)

March 25, 2013

春の京都、お茶事にお招きいただいた

130325_chaji1

京都の知人より、春のお茶事にお招きいただきました。開花したての桜をあちこちに眺めながら、岡崎のお宅にお伺いする。京都、桜、お宅に通ずる小路に漂う春の香り、玄関へ通ずるアプローチ。

今回は京都に到着したところから「お茶」が始まっているんだなあ、としみじみ感ずる。春と言う季節、歴史の京都、教養あふれる素敵な知人。こういうことなんだなあ、と。

130325_chaji2

不慣れな私にとって、亭主と客のやり取り、作法、手順に気をとられながらのお茶時ではあるが、なんとか楽しもうと頑張っている。「お茶を楽しむとはどんなこと?どんな境地を言うのだろう?」といつもの思いがよぎる。

今回ひとつ判ったような気がする。それは、お茶は「楽しむ」ための枠組み(フレーム、土俵、)なのかなと。そこで交じり合う主客の会話、五感で感じる喜び、時間と空間の共有による一体感、など。「楽しい」とはその辺りのあるのではないか、と。

まだまだ、道のりは長い。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 14, 2013

『近現代における茶の湯家元の研究』 廣田吉崇・著

130214_iemoto

第二次世界大戦後の高度経済成長期は家元の”飛躍期”であり、その時期に形成された家元のあり方を現代家元システムと呼ぶこととした。しかし、この段階はもはや過去のものとなりつつあるといえる。
高度経済成長期につくられた巨大な家元システムは、当然に膨大な門弟層の存在を前提とするものである。今後の日本社会の人口減少にくわえて、その門弟層が減少傾向にある今日、巨大な家元システムを維持し続けることはできるのであろうか。本研究において論じた現代家元システムのあり方は、すでに変化を余儀なくされているのではないかと考える。
『近現代における茶の湯家元の研究』 廣田吉崇・著
(終章・まとめと課題p393)より

私にとって、その伝統と奥の深さによりハードルの高いテーマの本ではあったが、読みはじめると、面白く一気に読んでしまいました。

私は茶道の稽古を始めて4年の年月しか経たず、現在もお点前の手順を覚えるのに精一杯の域をでないのが実態。「家元制度ってなんだろう?」「いつ頃から始まったのだろう?」「いろんな流派があるが、その誕生の過程は?」「流派により点前が微妙に異なるのはなぜなのか?」など素朴な疑問の赴くまま読み始めたが、見事にそれに応えてくれたのがこの書籍。少しでも茶の湯に興味のある方であれば、どなたにもお薦めしたい。

取り扱われているテーマを、目次から簡単にご紹介しておきます。

第序章 茶の湯の歴史における家元の存在
第1章 家元と天皇との距離
第2章 明治前期の喫茶文化の状況
     「貴紳の茶の湯」と「流儀の茶の湯」
第3章 創られる家元
第4章 第二時世界大戦後における茶の湯イメージの転換
第5章 千宗旦の出自をめぐる「利休血脈戦争」
終章 まとめと課題

実は、著者の廣田吉崇さんとは、昨年6月に『雲南省茶馬古道を行く~麗江・シャングリラの旅』をご一緒させていただいた。その関係もあって昨年暮れには、ご自宅にお招きいただき、廣田さんご自身による鎮信流のお点前でお茶を一服いただきました。流儀が異なるとこうもお点前も違うのかととても興味深い体験と美味しいお茶の時を過ごしました。

著者自らが「この論文の内容は、近い過去に関するものであることから執筆にためらいがなかったわけではない」(p402)と打ち明けていらっしゃるように、とても繊細な(微妙な)事柄も書かれている。豊富な資料・書籍、聴き取りを元に、誠実に論理的に著そうとする姿勢と何と言ってもお茶を愛する廣田さんのお気持ちが随所に感じられます。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

January 02, 2013

新春にお茶を一服

130102_tea1

今年は2013年。なのでお正月の間に13人の方にお茶を点てることにした。

お客様は、ご近所のたいへん親しくしていただいているご一家。まさか私がこうしてお茶を一服差し上げるなんて、夢のようだ。

お点前はまだまだ未熟。美味しいお茶をお出しできたか、はなはだ心許ないのですが、心を込めて点てました。

130102_tea2

番外編として、我が家のゴン様にも一服。

神妙な顔つきで私のお点前を見つめているゴン。

何しているのかわかっているんだよなあ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 19, 2012

京都で「茶の湯文化」〜茶の湯文化学会総会に参加

120619_chanoyu1

昨年は東京で開催された「茶の湯文化学会総会」。今年は京都で開催され、
前日には特別公開として2カ所の見学会が催された。

こちらは「頼山陽書斎 山紫水明處」。

120619_chanoyu2

江戸時代後期の儒学者、頼山陽が晩年住んでいた水西荘の書斎。雨に濡れて庭の緑が美しい。

120619_chanoyu3

案内していただくのは茶の湯文化学会の影山先生(左)と倉沢先生。

四畳半の書室と二畳の水屋がある簡素なものだが、四方を開放して暑さ寒さを凌ぐ工夫がされている。すぐ横に鴨川が流れ、東山が一望できる。

120619_chanoyu4

二つ目は四君子苑(北村美術館)。昭和の数寄者・北村謹次郎によって建てられた数寄屋建築の建物。昭和15年〜昭和19年に5年かけて建てられた。普段公開されていない建物は撮影禁止。緑が茂る木の中にあり、北村謹次郎は1991年に亡くなるまで住んでいる。木の向こうの煉瓦づくりの建物が北村美術館。

120619_chanoyu5

2日目は研究発表と総会。

「茶書に見る<さび>」のテーマで谷晃先生の講演。「わび・さび」と何気なく使う言葉だが、その意味は深い。

写真は煎茶美風流家元の中谷美風さんによる講演風景。

120619_chanoyu6

「平城京遷都1300年」に合わせて行なった「茶経の復元」の報告。中谷美風家元が中国の茶聖・陸羽が著した『茶経』による茶の再現のお話は面白い。8世紀のお茶の再現である。

120619_chanoyu7

『茶経』によるお茶をいただく。少し漢方薬を煎じたような味がするが、あっさりとしていて心鎮まる。

「茶の湯文化学会」は、抹茶だけでなく煎茶や他の茶文化、茶のルーツも対象にした会です。(私はまだ今年から会員になった新米会員。お茶のことはこれから少しずつ学び、いただき、楽しみにしていきたいと思っています)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 10, 2012

春の茶事へ〜京都・弘道館

120410_koudoukan1

日曜日、京都・弘道館で行なわれた春の茶事へ行きました。京都御所の西側にある上長者通りを入ったところにある。径からはなかなか見つけにくい場所なのだが、真ん前に来ると細い露地の向こうに入り口が見える。一歩踏み入れると別の世界が待ち受けている。これが京都の家の作りなのだろう。

120410_koudoukan2

弘道館」をご存知の方は少数であろう。実は私も詳しくは知らなかった。昨年12月に弘道館で行なわれた忠臣蔵に関する「松浦の太鼓」をテーマにしたお茶会に参加したのが初回。

弘道館」は、江戸時代中期の儒者・皆川淇園(みながわきえん)によって創立された私塾。約3000人の門弟がいたと言う。皆川淇園( 享保19年(1735)〜 文化4年(1807))については、こちらをどうぞ。

120410_koudoukan3

お茶事の日は春爛漫の心地よい日和に恵まれた。お稽古の茶事以来、2回目の私はいささか緊張気味。初心者の私はお茶事についてまだ語ることはできないが、ともかく心を落ち着け、静寂を楽しみたいと臨んだ。
11時に始まり終わったのが14時半。その間、ゆっくりと時間が流れる。

「お茶を楽しむ」には未だ遠い境地のところにいるが、いつか「楽しむ」日が来ることを夢見て。

有斐斎「弘道館」
上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524−1
tel : 075-441-6662

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 13, 2011

「茶の湯文化」に惹かれて

110613_chanoyubunka1

「茶の湯文化学会」の総会に出席させていただいた。私は現時点では会員ではないのですが(入会予定)、今年の2月に「中国・雲南省の茶のルーツを訪ねる旅」のお伴をさせていただいた谷晃先生(野村美術館・学芸部長)にお会いしてお礼を申し上げたい目的もあった。谷先生は、「茶の湯文化学会」の会長でもいらっしゃる。

総会に先立って今回のメインテーマ「茶の湯の全国展開~周辺から中心を見直す」に関する、実際の地方からの報告があった。

「中世信濃の喫茶」、「瀬戸内(鞆の浦)の茶会」、「岡山の茶の湯(速水流から民藝まで)、「認得斎宗室と長崎」などのテーマで発表が続く。門外漢(素人)である私にも、その時代の様子が伝わってきました。

「総会の議事・決議」の終了後、今回のメインテーマでパネルディスカッション。「流儀化への道」(谷端昭夫・裏千家学園講師)、「茶の湯の環境を見る三つの視座」(中村利則・京都造形芸術大学教授)、「近代茶道の両義性」(田中秀隆・三徳庵専務理事)の3氏による基本解説がある。コーディネーターは熊倉功夫・静岡文化芸術大学学長)。

茶道について研究、出版をされ、あるべき姿に対して積極的に発言されている4氏の議論は白熱し、アッと言う間に時間が過ぎていく。お茶(抹茶だけでなく)を流儀や道具だけで捉えるのではなく、日本の歴史、文化、生活、精神性が極めて凝縮された文化として継承しつつ、あらたな役割を模索していこう、と言うメッセージとして私は受け留めた。

110613_chanoyubunka2

会場は、御茶ノ水の明治大学駿河台キャンパスのリバティタワー。総会は3階の教室。懇親会は23階のパーティ・ルーム。

一昨年、韓国を訪ねた時のメンバーと再会。雲南省の旅でお世話になった先生方にも再会。どなたも茶の湯に関するそれぞれの分野の第一人者ばかり。

改めて日本文化の深み、面白みを知る入り口に立ったような気持ちになりました。

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 25, 2011

『茶道を深める』~仕事と日常生活とお茶との関わりは

110524_chado1

茶道を学び、茶会や茶事にかかわわるようになると、次第に、年中いつも心のどこかで、点前や道具のことを考えているようになる。
その思考が、客の楽しみを思い、客へつかえる姿勢を中核にしていれば、年数が経つうちに、顔や表情、所作や声の調子に素直な思いやりが自然に表れるようになるはずだ。
茶道のすごいところは、それを「教条」や「規範」として直接与えるのではなく、点前の習得や取り合わせの楽しみをとおして間接的に育てるところである。
教え、教えられる形で身につくものよりも、自らも積極的に楽しみながら身につくもののほうが、身につきかたが深い。
『茶道を深める』 岡本浩一・著 「つかえる心」(p71~72)より】

引用が少し長くなりすぎましたが、今、この著者の茶道に対する考え方に多くの示唆をいただいています。

著者・岡本浩一氏は心理学者であり、国内外の大学教授、内閣府の専門委員など幅広い分野で活躍されている。特に、リスク心理学の草分け的存在で、内閣府原子力委員会専門委員も務めていらっしゃると言う。

そんな著者が、「茶の湯の心得」を説かれているところがさらに興味深い。茶道の稽古や知識、道具などの捉え方、これからの茶事の楽しみ方など、現代の市井の私達がどのように取り組んだら良いのかのヒントがある。

「茶道の深みは、ひとそれぞれの日常の仕事、人生観、価値観と密接に繋がっている」と言う著者の考え。遠くて到達し得ないところにあるが、少しでも近づけるような生活をしてみたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 04, 2011

新緑の「チャリティ・ガーデン茶会」

110501_gardenchakai1

週間予報ではこの日だけが雨。前日の夜は嵐のような暴風雨。そしてその5月1日がやってきた。今日は東日本大震災の復興支援のための「チャリティ・ガーデン茶会」を開催する日なのだ。

110501_gardenchakai2

天気予報は見事にはずれた!! 柔らかい陽光が射し、雨で洗われた新緑が美しい。今回のチャリティお茶会のような企画はもちろん初めて。いったいどれくらいの人に来ていただけるのだろうか?準備の時から緊張。ご案内した予定時刻よりもやや早めにお客様がお見えになり始めた。

110501_gardenchakai3

今回の企画は友人のIさんとの会話から始まった。彼女の知人やその仲間が大震災で大きな被害を受けられた。遠く離れたこの地で被災された方々に何か支援できないかと考えました。Iさん夫婦は茶道で知り合って結婚。子供達もお茶を習い普段から親しんでいる。じゃあ、お茶会をやって集まった会費を被災した方々に復興を願う気持ちと一緒に送ろうと言うことになった。

110501_gardenchakai4

「慣れない者だけでの試みで、充分なおもてなしはできませんが、お抹茶を一服お楽しみください」とご案内した。お菓子は東北地方のお菓子屋さんから取り寄せた。また、私がお稽古している社中の仲間が東京より二人駆けつけてくれた。今回の趣旨に気持ちよく賛同してくれた地元の親しい友人と共に開催できました。特に、「お運び」担当のIさんの娘、Tちゃん(小5)、Nちゃん(小3)は大活躍。すべての席ごとにお客様の笑顔が溢れました。

110501_gardenchakai5

お点前は、Iさん(夫)、Sさん(東京の社中の仲間)、そして私の3人で交代しながら席を持つ。2週間前に「初お点前」を経験したとは言え緊張の連続。でも結局3回機会が巡ってきて、最後は私自身も少し楽しむ気分でお点前ができ、とても貴重な体験となった。

110501_gardenchakai6

100人を超す方々に来ていただきました。子供連れの若いご夫婦、気軽に来てくれたご近所のみなさん、長いお付き合いの友人達、いろいろな繋がりで声を掛けて集まって下さったお客様、楽しんで下さったでしょうか。

お客様のお一人から「秋にもやってくださいね」と声を掛けられた。「復興には長い時間が必要。だから支援の継続が大切ですね」と。

まずは、今回いただいたお客様の気持ちとお金を被災地に責任もってお届けしながら、考えてみたいと思います。

お客様、スタッフ、そして天気の神様、すべてに感謝いたします。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 18, 2011

初めてのお点前の日がやってきた。

100418_ochakai1

ここは新緑美しい東京・池上梅園。お茶を習い始めて丸2年。いよいよ社中主催のお茶会でお点前をする機会を得た。(4月16日)

受付と「待合い」に使わせていただいた建物の横には池。満開の白いシャクナゲに囲まれ、緑が眩しい。

100418_ochakai3

 

いつかはこの日を迎えるのだろうが、まだ2年ちょっとでお稽古もマイペースで、本当にお手前ができるのか、手順を間違えないだろうか、柄杓落とすなよ、美味しいお茶が建てられるだろうか、お道具の拝見、ちゃんと答えられるだろうか、上手く仕舞いつけできるだろうか。

不安一杯のお手前デビューであった。

出だしで建水に乗せた柄杓がツルツルと滑って落としそうになる。一気に汗が噴出す。どうにか身繕いをし、お茶碗へ手を伸ばすと、なんとその手は震えている。緊張はしてもまさか、ここまではないだろうと思ってたのに。

「えいっ」と気合を入れなおし、自分のお手前に集中!徐々に落ち着いてきて、スムーズに進んでいくのを自分で感じる。終わってみると、なんとか手順どおりできたと思う。

まだまだ、お茶のことは語るには知識、経験が浅すぎる。なのでこれぐらいのレポートしかできないが、ここまでやってこれたことに、先生、ならびに社中の仲間、そして妻に感謝。

次にお点前する時は、もうちょっと落ち着いて、少しは楽しんでいる自分がいられるようになりたいものだ。なんか、できそうな気にもなってきた。

100418_ochakai4

今回のお茶会は、社中では東日本大震災を受けて開催すべきかどうか検討もした。そこで出した結論は、「今できることを精一杯やろう。心一つに復興を祈ろう」。そんな気持ちで臨みました。

近くのレストランで反省会。その場で、私は社中の仲間に、被災地の復興支援を行なう"HOPE FOR JAPAN"への協力をお願いをし、イエローバンドの輪ができました。

良き仲間とお茶の稽古ができることに感謝し、日本の復興を祈りながらお茶会を無事終えることができました。

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧