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March 23, 2013

「但馬の平家落人伝説はウソだらけ?」 但馬学3月例会

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今日は但馬学の3月例会。城崎温泉(兵庫県)の城崎文芸館で行なわれました。テーマは「但馬の平家落人伝説はウソだらけ?」。講師は、すでに但馬学では数度お話を聞かせていています山口久喜(ヒサキ)先生です。近年まれに見る面白さ、明快さ、とても充実した例会となりました。

結論から述べると、「但馬の平家落人伝説はすべてウソ!」と明快な山口先生の答え。但馬どころか全国150ほどある落人伝説が偽りであるとおっしゃる。(但馬には40カ所もある)

その根拠は、そうである明確な資料がない事、言い伝えの墓石、神社などを調べても年代が200年もずれているもの、年代と事実が後先になってあり得ないものなど、実地の調査も詳しくされている。

では、「なぜかくも多くの平家落人集落(伝説)があるのか?」について説明がある。

1つ目は「怨霊信仰」。当時流行った疫病、天災などが恨みを持って死んでいった者の霊として恐れられ、逆に霊を鎮めるために人々はそれを祀る「御霊信仰」へと変わった。菅原道真を祀った北野天満宮。同様に平家を怨霊を祀る。

2つ目に「貴種流離譚」。僻地に住むが、好き好んで住んでいるのではない。自らは昔、貴人の子孫であり、平家の武将だったと認識し、その地に住む理由とした。

3つ目は「平家語りの普及」。琵琶法師により平家や安徳天皇の鎮魂のために詠われていた。

4つ目は「逆修信仰」。生前にお墓を建てる事を逆修といい、平安時代には貴族、鎌倉時代には武士、室町時代には経済的に向上した庶民などに広まったこと。落人伝説のある村の墓石などを調査すると伝説と書かれている内容が一致しないものが多い。

などを根拠としている。

ではなぜそれほど多くの山村、漁村に平家ゆかりの伝説が残っているのでしょうか?仮にそれ(平家の落人集落、伝説)が真実でなくても、そう語り継がれるのはなぜなのか?

それは生活に困難な立地条件、厳しい自然環境、集落が一致団結して営んで行かなければ成り立ち得ない情況。まさにそこに定住していくための知恵だったのではないだろうか。

私は、歴史には「真実かウソか」よりももっと大事なものがあると言う思いに至る。そう信じる当時の人々の心情こそが「歴史」から学ぶものである、と。それが真実であるなら尚更である。

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