「但馬地方のコウノトリ」〜但馬学2月例会
今日は野生復帰プロジェクトが着々と進むコウノトリのお話。昨日まではぽかぽか陽気の東京にいたが、こちら兵庫県豊岡市はまだ真っ白な雪に埋もれている。
場所は「コウノトリの郷公園」。昭和61年(1986年)に最後のコウノトリが死亡し日本国内から一旦は姿を消したコウノトリ。そのコウノトリを人工飼育し、ケージで徐々にその数を増やしながら再び野生に戻す取り組みのお話を聞いた。
講師は松島興次郎氏。昭和40年代に姿を消し行くコウノトリの保護にあたり、最後のコウノトリの死に立ち会う。ロシアから譲り受けたコウノトリを人工飼育ながらいつか自然界にコウノトリを戻すことを信じ、国県市の支援がままならぬ時から孤軍奮闘。今日の野生復帰を果たした一部始終を知る松島氏のお話である。
松島氏のお話は現場を知るもののみが語れる示唆にとんだ感動的なものであった。
「神の領域に手を出した」
「学識者ではなく職人である」
「死ぬかもしれない時、判断できるのは自分しかない」
「『コウノトリとの約束』。それは緊急避難として自然界から飼育下に問い入れた時。いつかきっと再び野に返すと決意した。」
野生復帰のもう一人の功労者である故・池田啓氏が撮影した大空を飛翔するコウノトリ。松島さんが一番大切にしている写真だそうだ。学術的アプローチを通じて日本及び世界の関係者の関心を引きつけ、コウノトリの野生復帰を市民レベルで盛り上げることにも尽力した池田さん。
滅亡から復帰まで立ち会った松島さんと友人でもあった池田さんが交わった瞬間だった。この逸話を聞けたのも私にとって大きな収穫であった。
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