「中国最大の窯業地」〜廬山と景徳鎮を訪ねて(3)
今回の旅の主目的の一つ「景徳鎮国際陶磁博覧会」の開幕式に参加した。盛大なセレモニーにビックリ。女性歌手とたくさんの子供達の合唱により幕が開いた。
この博覧会ではたくさんの陶磁器の逸品が並び、国際レベルで陶磁器の文化交流を行ない、そして陶磁器の取引が行なわれる。
たくさんの人・人・人。これが中国なんだ。上から下から順路もなく人が溢れる。
実用的な陶器ばかりの中に、こんな作品を発見してホッと。
博覧会場を後にして、次に向かったのは街の中にある陶磁器製造工場。景徳鎮では2千以上の陶磁器工場があり、宋さんの話では約17万人の市民が陶磁器製造にたずさわっているそうだ。
明・清の時代に最盛期を迎えヨーロッパ、アフリカへも輸出。宋さんが話してくれた次の話しがとても興味深い。それは景徳鎮で製作された陶器が輸出されて一体いくら(価格)になったのか、と言うお話。
景徳鎮を1とした場合。
広州に運んで20倍。
広州から船に乗せて日本・フィリピン・マラッカ・韓国に行き120倍。
ペルシャ・インドで400倍。
ヨーロッパに到達すると1000倍以上。
イギリスに至っては4000倍になったと言う。
当時の航海のリスクを考えるとこれぐらいの利潤が必要だったのだろう。ヨーロッパではまさに宝物であったのだ。
絵付けの工程を見学。景徳鎮特有の紋様を丁寧に書き込んで行く。あれだけの細かい幾何学模様や動植物の精密画。なにか特別な方法があるのだろうと思う(思いたい)のだが、マジックはない。あくまで手でコツコツと描きあげていく。
最後の訪問地は街の中心にある「龍珠閣」。かつて明と清の時代の官営陶磁器工場であった。小高い場所に建っているのが、なんと地面の下は投棄した陶磁器の破片だそうだ。
「龍珠閣」の横にある古窯遺跡。もともと住宅が建っていたのだが、街の再開発で掘り起こしたら出土した遺跡。こんなのが街のいたるところにあるのが景徳鎮なんだろう。
これまで江西省は私にとってあまり縁のない未知な省でしたが、古代から中国南北の交通の要であることを知った。特に廬山は陸路と水運が交叉する地に位置し、経済が文化を育て、文化がその地を豊かにしていったのだろう。
取引経路とその価格の話しが大変印象に残った。「景徳鎮」がいかに西洋の宝物であったこと、さらにアフリカやイスラム文化圏にたくさんの景徳鎮が輸出されていたのもとても興味深いことでした。
お茶にまつわる生活史、文物、陶器など、お茶文化は多岐にわたりしかも奥深い。おそらく終わりなきテーマ、この旅はずっと続けていきたい。
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