「旅は南昌から始まった」〜廬山と景徳鎮を訪ねて(1)
先月「茶の湯文化学会第33回研究訪中団」に参加しましたので報告をします。(とは言え、私は2009年の韓国茶の湯文化交流で行ったソウル以来2回目の参加です。)
今回の旅は、中国江西省北部にある廬山と景徳鎮を廻るのがメインである。東京から10名、大阪から9名の参加者が上海に集合。浦東空港からさらに乗り換えて江西省の省都・南昌市に着いたのは日が変わろうとする寸前の深夜であった。
夜が明けて初めて眺める南昌市。調べると人口430万人。ビルが林立する市の中心部。そして川を隔てた手前側にホテルがあり、その周囲はまだ古い住居がある。しかしこの地区も開発の予定区域に入っているのだろう取り壊し中の建物もある。
今回の旅の最初に訪れたのは南昌市中心部にある「江西省博物館」。まず現代的な建物に驚く。これは明代の景徳鎮磁器に由来しているそうだ。
1999年にオープンし、江西省の古代から現代までの歴史を展示する。10万余点の文物が保管されているそうだが、何と言ってもその古代から陶磁器は圧巻である。
今回の旅の現地で案内していただく宋小凡さん。私は今年2月の雲南省の旅でもお世話になったが、宋さんは単なる通訳、ガイドを超えて陶磁器に関する造詣は専門家も顔負けである。
陶磁器以外のことでは、江西省は1万年前に稲作をしていた証拠となる遺跡がみつかったこと、客家のルーツであることなど興味深いことを知った。
午後はバスで世界遺産である廬山に向かう。
《廬山は『書経』や『史記』などの紀元前の書物にも名前があがり、道教・仏教・儒教などにゆかりの深い山であるとともに、白居易、李白、蘇軾などの多くの文人や学者らが廬山を遊歴し
、人生の一時期をここに隠棲した。》(宋さんの資料より)
途中、廬山特有の岩肌が見える場所でバスを降りる。宋さんが李白の『廬山の瀑布を望む』を中国語で朗読してくれたのがとても印象的。一気に時空を超えて李白の時代へとワープした気分でした。
廬山の麓にある「白鹿洞書院」に立ち寄る。9世紀始めに建立され、北宋の時代には中国四大書院として数えられ、朱熹(しゅき)【南宋の思想家。倫理学・政治学・宇宙論にまで及ぶ体系的な哲学を完成】により朱子学の拠点となった。
そして宿泊場所である廬山山頂付近にあるホテル「西湖賓館」に到着したのは夕闇迫る時であった。
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