イタリア料理『アル・ケッチャーノ』〜奥田政行シェフの話に感動!
「今しか、ここにしかない感動の3日間」と銘打って『三原谷の川の風まつり』が開催された。場所は、兵庫県豊岡市竹野町三原谷地区。人口460人の奥深い山あいの谷。
この三原谷イベントの目玉の一つが「三日間の学校レストラン」。旧・大森小学校(1987年廃校)の校舎にイタリア料理『アル・ケッチャーノ』(山形県鶴岡市)のオーナー・シェフの奥田政行氏を迎えて、実際に調理をしていただいたイタリアンをいただく。食事の後に、体育館で、奥田氏の講演会を聞く。
自己紹介から始まったが、それがまた衝撃的。小さい頃からたいへん苦労されてシェフへの道を歩んでこられた。「地域がよくならないと美味しい食材も手に入らない」の信念で、生産者と向き合い、ある時は行政に働きかけ、地域の活性化を訴える。自らの手で小さなレストランを切り盛りしながら、やがて世界から料理人としての高い評価を得た奥田氏である。
「料理のこと、地域づくりのこと、食材のこと、地球の成り立ち、なんでも訊いてください」と、奥田氏。「食」だから、人間と自然、すべてに関係してくる。奥田氏はそのどれもに精通していて、とにかく詳しい。会場から「海の魚の調理法は?」と質問が出ると、奥田氏は黒板に地球を書いて説明が始まるから驚きだ。自然、地球の原理原則を知っていると、海、山、川、土、そして農業、漁業のことなどが分かってくる、と。
『食の地域づくりには、「料理人」と「知識人」と「生産者」のトライアングルが大切だ』との奥田氏の言葉がとても印象に残った。まったく同感である。
講演の最後に、協力者の一人である松場大吉氏(石見銀山生活文化研究所・代表)から、講師への謝辞と、イベントに対する地元の方への感謝の言葉が述べられる。
松場氏とは、2年前の須野谷のイベント以来、親しく情報交換をしている。今回の、アル・ケッチャーノの奥田シェフとこの三原谷地区を結びつけ、食を通じた熱い交流の仕掛け人でもある。松場氏自身、石見銀山(島根県太田市)の大森地区に根ざして、地方(田舎)からの情報発信を身をもって実行されている。
お昼のイタリアンをいただき、校庭のバザールで、地元の食材をみたり、奥田氏の講演をきいたり。三原谷の秋の一日は、あっという間に過ぎ、夕暮れていく。
校舎から500m下流に停めた車まで歩いて移動する。ふと、振り返ると校舎の上におっ月さんが。
地元食材を使った美味しいイタリアン。情熱を込めて「食」を語っていただいた奥田シェフ。そして、「大事なのはヒトのネットワークだねー。」とお互いに言いながら別れた松場氏。
とても、大切なものに触れた心地よさに包まれながら、夕闇の中を急いだ。
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