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October 15, 2008

「シロタ家の20世紀」 数奇の運命をたどる

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レオ・シロタ。ウクライナ生まれのピアニスト。1929年(昭和4年)に来日し、日本に17年間滞在し、ピアノの演奏活動と東京音楽学校(現・東京芸術大学)で教鞭をとった。その娘・ベアテは、日本で育ち、アメリカに渡り、第2次世界大戦の終戦と共に、両親を訪ねて再び日本に戻る。そして、日本国憲法の草案に「男女平等」の文言を書きいれた。

ウクライナのシロタ家は、ユダヤ人家族として、20世紀の戦争に翻弄される運命をたどった。レオは、ピアニストとして日本へ、レオの兄は、パリで実業家として成功したのに、アウシュビッツへ。レオの甥イゴールは、ノルマンディー作戦に参加し、ナチによる支配からフランスを開放へ導いたのち戦死。そして、レオの娘ベアテはアメリカ留学の後に日本へ戻り、日本国憲法の草案に携わる。シロタ家を通じて20世紀の戦争悲劇を知り、平和の大切さを学ぶ。

この映画の製作には、一つの志がある。それは、レオ・シロタの愛弟子・藤田晴子氏の遺志をついで、その遺産で製作された。その藤田晴子さんにピアノを学んだのが建築家・富田玲子さん。富田さんはこの映画の企画者の一人。私の自宅を、その富田玲子さん(象設計集団)に建築設計をしていただいて以来、20年のお付き合い。家族と家族、人と人、出会いと別れ。人生は、どのようなつながりから、まったくかけ離れていた現実が身近になるのかわからない。

この映画を過去と現在、人と人の関わりの、深さと広がりを感じながら鑑賞した。

「シロタ家の20世紀」 藤原智子・監督作品
上映:岩波ホール(東京・神保町)
10月17日まで

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