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June 12, 2008

『小さな建築』を巡る千夜一夜〜「わくわくする建築・街」編

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建築設計象設計集団、建築家・富田玲子さんの『小さな建築』の出版記念に企画されたシンポジウムもいよいよ最終回。全3回すべて参加させていただいた。毎回、富田さんとゲスト2人を招き、建築と絡めて様々な意見交換がされた。

第1回目は「子供の居場所」(谷川俊太郎・佐藤学)、第2回目は「老いをくらす」上野千鶴子・片倉ともこ)、そして第3回目が「わくわくする建築・街」(藤森照信・陣内秀信)である。

会場は「東京デザインセンター」(品川区東五反田)。イタリア人建築家マリオ・ベリーニの設計による建築と空間がとても素敵だ。

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スライドを映しながら説明する富田玲子さん。写真は、台湾・宜蘭県庁舎。ちょうど、我が家の建築を象設計集団にお願いしている頃と同時期にプロジェクトが始まり、私も工事中の宜蘭県の現場を訪ねたことがある。

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富田さんは根っからの建築家だ。我が家が完成した時に「出来てしまいましたね」と、できたのが残念と言わんばかりに、設計をずっとやり続ける大変なエネルギーの持ち主である。

特に、設計に入る以前の「何を建てるの?何が大切なの?と言う建築コンセプト」は富田さんの真骨頂だ。地形や街並、テーマによって何を軸にするのか?徹底したプランが練られる。

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今回のゲストは建築と街に対して造詣の深いお二人。まずは、藤森照信さん(建築史学者・建築家)。以前から、お話をお聞きしてみたい一人。念願が叶う。(^_^) 世界中のスタンディング・ストーンを紹介、また路上探検しながら、ご自身の建築に対する「わくわく」を説かれる。水平方向の居心地の良さを説く富田さんに対して、「突き抜ける」快感を説く藤森さん。建築と植物をどう結びつけるかが、ご自身の設計への最大のこだわりなのだそうだ。

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こちらは、陣内秀信さん(都市学者)。私が陣内さんを知ったのはNHKの番組でベネツィアを紹介する陣内さんの姿を観た時でした。それから何年かして、富田さんの設計した「ドーモ・アラベスカ」(東京都杉並区)での、ホーム・コンサートで陣内さんにお会いしたのが初めて。

イタリアの都市や小さな町のスライドをいっぱい写しながら、イタリア人の「街づかい」の上手さを紹介。これからは「街づくり」ではなく「街づかい」が大切だと。同感だ。また、イタリア人の豊かさを感じる瞬間の一つに、バルコニーや狭い外階段、屋外で眺める夕陽。沈みゆく太陽、そよ吹く風、人の喧噪を楽しむひと時、ワイン片手に語り合うひと時、があると言う。

陣内さんがおっしゃった「夕暮れ文化」と言う言葉が気に入った。

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「わくわくする」とは、「喜びがあること。幸せを感じる瞬間」。何にわくわくするかは、十人十色だが、3人のお話を聞きながらまとめてみると、地域の特性を活かす、街と繋がる、伝統と革新のドッキング、ヒューマン・スケールの大切さ、などが浮かび上がって来た。

もう一度、自分の今の住まい方、時間の過ごし方、ビジネスとプライベートのバランス、など考えてみよう。

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