『コウノトリの絶滅と復活から考えた米作り』但馬学3月例会
前回の但馬学公開講座『忍び寄る食と命の危機〜但馬の農と暮らしをどうする』で、私たちの食生活、日本の食料自給率の低下と農業問題、などを学んだ。
今月の例会では、「コウノトリ育む農業の取り組み〜自然と人間が共生する里山環境づくり」と題して、畷 悦喜(なわて・えつよし)さん(コウノトリの郷営農組合元組合長・コウノトリ育むお米生産部会長)のお話をお聞きした。
会場は、豊岡市立地域農業管理施設(豊岡市祥雲寺)。そこは、兵庫県立「コウノトリの郷公園」の真ん前にある。画像にある田んぼは、畷さんが米作りをされている田んぼである。画像をクリックしてください。ちょうど、2羽のコウノトリが畷さんの田んぼに舞い降りて、餌をついばんでいるのが見える。
講義をお聴きする前に、まずはみんなでお昼ご飯の準備。畷さんが作ったお米を薪釜で焚いて、みんなでオニギリを作る。畷さんの奥さんの指導で、自分の分のオニギリは自分でにぎる。以外と、オニギリをにぎるのは初めてのメンバーも多い。「オニギリはコンビに買うモノ」なんてことになっていないだろうと思うけれど。(^_^;;
どうですか?このオニギリ!(^_^)v
(形はともかく)
このお米を作られた畷さんと隣り合わせで、食べるオニギリは最高に美味しかったのは言うまでもない。
今日の「美味しい例会」は、お米ばかりではない。今日の食材は、すべて地元産なのである。
畷さんからは、お米、ホウレン草(1時間前に収穫したて)、白菜のお漬け物。お味噌汁のお味噌は、但馬学メンバーの手作り味噌。タクアンと大根のお漬け物も、メンバーが栽培した大根を自ら漬けた手作り品。豆腐は、メンバーの実家が豆腐屋さんから届いた超・こだわりの豆腐。オニギリをにぎる時に手にまぶした塩は、豊岡市竹野町の竹野浜の海水から作った塩。
究極の地産地消だ!
至福のお昼ご飯。
但馬学は楽しい!
畷さんのお話。
○但馬・豊岡市周辺を最後にコウノトリが絶滅したのは昭和40年代。原因は、営巣木の減少、農薬の使用、水田の乾田化。
○「コウノトリ育む米作り」で最初に考えたのは、有機農法を取り入れること。そして、組織営農。
○「育む」で意識しているのは、豊かな生態系の創出。例、田の中干し時期を6月中旬から1ヶ月延ばすことで、オタマジャクシの死滅を防ぐ→カエルが増える→カエルが害虫を食べる(例:カメムシ)。
○冬の堪水田も、やってみると米作りにも有効であることがわかった。
○生き物の数とお米の等級の相関関係。生き物が多いとお米の等級も高い。(堪水田は特に高い。)
○平成19年度のお米主要産地の概算金(仮渡し金)が示される。「こうのとりの育むお米」は、魚沼産コシヒカリに並ぶかそれを凌ぐ高価格で取引されるようになってきた。
○今後の課題として、上流から流れ来る川の水の水質。(農薬を含有など)。狭い地域での取り組みからより広域に広がる取り組みをすること。
お話の最後で畷さんが、「お米が美味いかどうかの評価は消費者がしてくれる。田んぼの評価はコウノトリがしてくれる」と話されたのがとても印象に残った。
コウノトリの野生復帰がそのまま農業の抱える問題を解決するほど単純な取り組みではないだろう。「コウノトリ育む農法」に注目することで、私たち自身が、身の回りの自然環境、生活習慣、衣食住に関心を持ち、何らかの「変化」を感じ、伝えて行くことが大切なんだと思った。
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