「豊岡鞄」 地域ブランドに期待
「千年の伝統を持つ鞄の産地、豊岡」と言う紹介で始まる「豊岡鞄」。兵庫県北部の豊岡市はかつては、市民の半分以上が、何らかの形でカバン産業に携わるまさに「カバンの町」であった。
奈良時代に始まり、江戸時代初期に京極藩の奨励により杞柳産業が発展した。大正末期から昭和初期に柳行李として全国に販売し発展。戦後、ビニール、ナイロン、合成皮革などの多様な素材を使用しながら、日本最大の鞄の生産拠点となった。
昭和52年の円高による(当時は輸出比率が高い)生産高の激減、その後は、逆にコスト競争激化のために輸入(台湾、韓国、中国)に転じ、地場産業としての基盤は、大きく揺らぎながら今日に至っている。
豊岡には、卸・工業(メーカー)・材料の3つの組合がある。以前は、お互いの専門分野を活かした協業があったが、円高、競争激化、海外調達、などの大きな変化があり、現在は個々の企業がそれぞれの経営戦略を描きながら生産をしている。グローバル競争時代の当然な流れだと思う。
そんな中で、伝統と先端の技術、品質基準、メンテナンス、などの審査基準を満たしたものが「豊岡鞄」として認められる。
工業組合が中心になって進めるブランド化なので、技術、品質、修理にこだわりがあるのでしょう。ユーザーとしてありがたい。
ただ、どんなモノづくりでもそうだが、「作れる=売れる」とは限らない。今後、デザイン、機能、材料のこだわりなどの企画・デザイン・新素材などの分野で充実を図ると、さらに伸びるのではないか。 鞄好きの私としては、大いに楽しみにしている。
卸と工業と材料の三位一体の伝統が新しい枠組みとして活かせる時、「豊岡鞄」が真の地域ブランドとして、大躍進するのではないかと鞄好き市民として期待している。
The comments to this entry are closed.
Comments