「九谷焼美術館」加賀藩の技術が蘇る現代建築
「石川県九谷焼美術館」を訪ねた。建築設計は「象設計集団」。
加賀藩の城下町・大聖寺にある。旧・大聖寺川をはじめ、雨が多いこの街には、水路が張り巡らされている。そんな大聖寺の自然環境を活かした親水公園がこれ。美術館の玄関前に広がる。
「大聖寺町の古い家でお茶をいただいたときのこと、北庭に面したほの暗い部屋の床の間に、古九谷の深みのある緑と黄色に塗り込まれた濃密な図柄の青手のお皿が飾られていて、その美しさに「あっ」と思いました。古九谷は北陸の暗い空の下で、華やかに見えるように色付けされたものだということが、その時にわかったのです。九谷焼だけでなく、どこの焼き物も、それが生まれた土地で見るのが一番美しいのではないでしょうか。 『小さな建築』 富田玲子・著
設計に当たった象設計集団の代表・富田玲子さんの著書によると、
「この美術館の主役は青手・色絵五彩・赤絵金襴のお皿達。だから、お皿達にとって気持ちのいい館をつくりたかった。夜中に大騒ぎをする「くるみわり人形」のおもちゃの兵隊のを思い出しながら、部屋の大きさ、素材、窓の開け方、展示ケースの形は、お皿の気持ちで考えたもの」(『小さな建築』 富田玲子・著)と書かれている。
地元の左官屋さんが塗った美術館の壁もなかなか素敵だ。
2階。茶房「古九谷」。
抹茶、煎茶、紅茶、中国茶、コーヒーと、どれもこだわりのお茶とお菓子が楽しめる。よく美術館にある少し違和感のある浮いた雰囲気は全くない。私はとても気持ちの良い空間を楽しみながら、美味しいコーヒ−をいただいた。
焼き物を中心としたミュージアム・ショップ。窓の向こうには、美術館の中庭に面した外壁が見える。
主役の「お皿たち」でなくても、訪れる私たちも気持ちよく「九谷焼」を鑑賞できる。鑑賞ばかりではなく、デジタル映像で「陶器」の歴史、産地、焼き方、などさまざまな学習ができる。今回は、私にとって、漠然としていた「焼きもの」の世界の基本を学ぶいい機会となった。
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