コウノトリの餌場と『久久比神社』
兵庫県豊岡市下宮にある山間の田んぼにコウノトリが集まってくる。2005年9月にコウノトリの野生化へ向けて放鳥したコウノトリの郷公園から北西に小山を超えて1km程のところにある。周囲は冬期堪水田(冬にも田に水を溜めている)を奨励し、そのうちの1枚の田をビオトープにしている場所がこれ。
午前と午後とボランティアの人が餌を与えているのだそうだ。その時間になるとコウノトリが集まってきて餌をついばむ姿を観察できる。以前から、その話を妻や友人から聞いていたので訪ねてみた。
実は、この餌場の真横には、久久比(くくひ)神社がある。コウノトリを祀ってある神社として地元の人から聞いて知っていたが、訪ねるのは初めてだ。
この本殿は、国指定重要文化財となっている。久久比神社の祭神は久久遅命(くぐちのみこと)を祀る。「くぐち」が「鶴」(くくひ)に結びつけられた。「鶴」(くくひ)はコウノトリの異名である。いずれにしても、コウノトリに所縁の深い神社なのである。
コウノトリは、西洋では赤ちゃんを運んでくる鳥としても有名。コウノトリの郷公園には、自然放鳥以来、たくさんの人が来園するようになった。コウノトリを見て、子宝に恵まれるように手を合わせている若いカップルもいるとか聞いたことがある。この神社のお札は、まさにコウノトリ。子を授かる願いを込めたお札がいっぱいだ。
本殿脇の木陰から眺めると、すぐそこでコウノトリが餌を食べている。数えると6羽いる。確か、これまでに放鳥したコウノトリは14羽。そのうち1羽が死んだので13羽。約半数のコウノトリがここで餌を食べていることになる。この餌付けには、賛否あるところだろう。
放鳥したコウノトリで死んだのは、落雷か電線による感電死と言われている。また、放鳥以前の2004年から住みついていた野生のコウノトリ(ハチゴロウ)も、つい先日死んだ。死因はまだ不明。
コウノトリの野生化事業は、まだまだ多くの課題を抱えている。いや、まだ始まったばかりと言って良いのだろう。市民としてこの課題と取り組むことが、そもそも地域の豊かさを育むことになるのである。
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