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December 10, 2006

「大乗寺と圓山應舉」 但馬学12月例会

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今月の但馬学は、兵庫県香美町香住にある「大乗寺」を訪ねた。正式には、「高野山真言宗 亀居山 大乗寺」と言う。圓山應舉の襖絵で有名なので通称「應舉寺」と呼ばれることもある。大乗寺は、りっぱな石垣の上に「客殿」があり、お寺と言うよりもお城か砦と言った印象を受ける。昔は藩(領地)の境目に当たり、砦の役割も果たしていたのかも知れない。建物内は撮影が禁じられているので、ご存じない方は、まずこちらをご覧下さい。

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本日の講師は、味田晃氏(みた・あきら)元・香住町教育長)。味田さんは大乗寺の檀家でもある。大乗寺と圓山應舉に関する第一人者。

味田氏曰く、『漢字は円山応挙でなく、「圓山應舉」と書くべし』。さらに、『「圓山應舉と大乗寺」ではなく、「大乗寺と圓山應舉」なのだ』そうだ。当時の資料を調べあげた味田さんのこだわりに、惹きつけられた。

應舉が修業中の貧しい頃に、その才能を見込んで学資を援助したのが、当時の大乗寺の住職だった。後に、画壇の第一人者になり、円山派の祖として仰がれた圓山應舉の恩人とも言える。その縁で、安永年間、1770年代の大乗寺復興に際し、應舉に障壁画を依頼し、應舉はこれに応えた。「恩返し」とも言われているが、「謝礼金」を払っている古文書がある。

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障壁画は、十一面観世音菩薩の仏間を中心に13の部屋に描かれている。仏教上の東西南北の隅に、四天王の司る世界を絵画化した内容の襖絵が描かれ、寺院全体で一つの立体曼荼羅を表現していると言う。一つ一つの襖絵が素晴らしいのは、鑑賞するたびに感じていたが、各部屋の襖絵の構図や仏教的な意味が込められていることを知り、いっそう、大きな感動を覚えた。味田氏がおっしゃった「圓山應舉は、単なる絵描きに収まらず、優秀なインテリアデザイナーでもあった」と言うお話には、多いに納得した。

当時の住職・密蔵法印、弟子の密英上人が地元出身であり、圓山應舉の代表的な作品のほとんどがこの大乗寺にあることを改めて知った。私自身の中で、地元の誇りがまた一つ増えた。

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