ヤマザクラ 素朴なサクラ
ヤマザクラ(バラ科)
明治の中頃にソメイヨシノが台頭し、主役を退くまで、サクラと言えばまず本種をさした。花と葉の展開は同調し、淡い花の中に、まだ赤みの強い、伸びきっていない葉が混ざる。この趣に情緒を感じる人も少なくない。東北南部以南に自生。萼(ガク)は無毛で、萼片は鋸歯(きょし)を欠く。材は浮世絵の版木にも。
『花おりおり その二』 湯浅浩史・著
私はまさに上述「この趣に情感を感じ」ていた。庭を全面的にお願いしている庭師Kさんを信頼し、いろんな木を植えているのだが、実はこんなに花を一斉に咲かしたのは、庭ができて14年経つが、初めてである。ヤマザクラの特徴は花と葉が同時に開く。庭を歩きながらでは、このヤマザクラの開花を実感できない。なぜなら空の薄い青、あるいは白い曇り空が、背景に入るので、ヤマザクラの開花を知ることはできにくい。
しかし、3階のベランダから眺めると画像のようになる。向こうの山の麓にもサクラが咲いている。こんな光景を楽しむ「仕掛け」を建築設計の時点では大切にした。「借景」である。山の、そして山の麓のサクラと連携しながら、庭のヤマザクラはゆっくりと育っていって欲しいと思う。
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