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January 28, 2006

「但馬禿げ山考」 但馬学1月例会

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但馬学例会で朝来市和田山町竹田に来た。竹田は竹田城趾で有名である。流れている川は円山川。山にはうっすらと朝降った雪が積もっている。今回のテーマは、「但馬禿げ山考〜里山の灌漑用水の管理と秩序」である。里山を「禿げ山」と「灌漑用水」と言うキーワードで見ていく。

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お話を聞く前に、実地見聞として、まず竹田・諏訪神社を訪ねた。この神社の境内の横から湧き出している「湧き水」の権利を巡って、江戸時代(文化10年、1809年)に争いが起きた。神社の下流にある加都(かつ)部落と上流にある竹田部落とが農業用水の確保をするために争った。「農村共同体」を支えているのは山と 水である」と言うお話から説明が始まった。

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今日の講師は宿南保氏(77歳)である。宿南先生は、八鹿町史、養父町史、和田山町史など但馬の町の歴史を編纂された、但馬の近世歴史家の第一人者である。地主と小作の関係はいつから成立したのか?と言う命題を研究するうちに近世→中世→古代と研究が進んだそうだ。

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私の今日の例会の興味は「禿げ山」にあった。宿南先生のお話は、江戸時代の出石藩を例にして次のようなものであった。

・私有林と共有林があり、共有林に禿げ山が多かった。

・住民は、薪にするために木を切り、堆肥にするために草を刈った。

・薪は、暖房、炊事に、草は、農作物の肥料に利用した。

・古文書には、「赤山」が沢山あったと記述されている。(赤山=禿げ山)

・赤山では山崩れが起きた、との記述がある。

・出石藩の領主は、お米「一斗二升」で「柴札(しばふだ)」を与えた。(山に入る権利)

現在、「山が荒れている」のは事実である(スギ・ヒノキの植林、林業の衰退、崖崩れ)。 昔、少なくとも江戸時代はどうであったのか?人々と自然は共生していた、緑は豊かであった、と言うような単純なものではなさそうだ。むしろ、現在私たちが目にしている周囲の山々の方が緑豊かとも言えるのだろう。 「昔は良かった」ではなく、今の山は捨てたもんではない。緑豊かなのである。木々を利用し、植林し、育林し、山を日常の生活と関連づけて、より豊かな生活を創造していくことが大切なのではないかと思った。

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Comments

いつも示唆に富んだコメントありがとうございます。>nagaiさん

「禿山」と言う表現がとても曖昧であり、その言葉からイメージする昔の山は、各人違うと思っていました。まあ、それはさておき、ギリギリのところで持続可能な搾取であったこと、限界を迎える前にエネルギー革命があったこと。大変興味深い指摘です。

「限界に向かう」とは、人口増加、経済的安定などでしょうか?また、「エネルギー革命」とは石油燃料ですね。

人が搾取を止める→緑が増える→鹿が増える。次はどうなるのか?いずれにしても山はこれまでもこれからも、そこに住む人間や動物によって変化し続けると言うことですね。

Posted by: KOH | January 29, 2006 12:43 PM

”エネルギー革命”以前、山林が搾取の対象であったということは、当たり前のことではあるが、余り知られていない事実だと思います。ただ、搾取の対象が広葉樹で萌芽更新という比較的初期成長の早い更新方法をとっていたため、この搾取は「持続可能な」一線を守っていたのではと考えています。ま、その限界に達する前に”エネルギー革命”が来てくれたとも考えられますが。

私は、そういうことより、1960年前後ごろエネルギー革命がおこり、そして1980年ごろから鹿の被害が顕在化してきたということに注目したいと思っています。

つまり、搾取の対象であった山林は、はっきりと人間の領地であり、当然、人の行き来も頻繁で、鹿と人間のすみわけがきっちり出来ていたのではないのかと思うわけです。

また、マツタケは人が搾取を続ける貧栄養化した土壌がベストコンディションです。北朝鮮からマツタケがたくさん入ってくるようですが、あちらはいまもそういう状態なのかなと思ったりしています。

Posted by: nagai | January 29, 2006 08:28 AM

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