「吉村順三建築展」 東京藝術大学 大学美術館
日本の建築では、ご承知のように、建物の内部と外部とは、一体のものとして考えられてきた。ということは、室内と庭との間に自由な交流があることである。季節の移り変わりは室内に反映して、そのときどきの気分が生まれ、室内は室内で、自由な使い方によって、おどろくほど効果的なふんいきが生まれる。そこにおおらかな気分が生まれ、西洋建築にみるような、堅い建物の中の生活ではなくなるのである。日本の民家が、高く評価されているのもこのことによろう。
吉村順三の言葉 「朝日ジャーナル」1965年7月11日号
東京藝術大学で開催されている「吉村順三建築展」に行ってきた。先週日曜日のNHK「日曜美術館」で紹介されたせいもあるのか、大勢の来場者である。これは大学美術館の外観。入場してから分かったが、2階に見えている白い窓は吉村による障子である。桟と桟の間を大きくするとゆったりとした空間を感じることができる。
会場前に設置された、吉村の代表作「軽井沢の山荘」の原寸大の図面である。木立と歩行者により、どれくらいのスケールなのか想像がつく。私は建築の専門家ではないが、いろんな建物には、大変興味を持っている。どんな地方に行っても時間が許せば、そこの伝統的な建物や、建築家による話題の建物を観るのが好きだ。私の自宅も、それなりのこだわりで持って建築した。テーマは「季節を感じ、人が和み集まる、自然な家」である。今回の吉村順三展で、吉村の「心地よい家の考察」に触れ、改めて自分の生活・家を見つめ直す時間を与えられた気がする。
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