『花おりおり』 湯浅浩史・著
世界にも日本でも、様々な文化があります。植物に関する文化も少なくありません。生け花、盆栽や花見など誰でもすぐに思い浮かぶ花の文化以外にも、普段は気付いていませんが、日本には植物の伝統文化が多々根付いています。行事の植物が象徴するように、生活の節目に四季折々の植物を結び付けました。赤飯や正月の赤い実の縁起植物、農耕儀礼の残存と思われる月見のサトイモやススキなど有史前に遡り、現代に脈々と続いています。
『花おりおり』 「はじめに」より 湯浅浩史・著
さらに、著者は次のようにも述べている。「日本人の植物感性は近代社会には類を見ない特異な存在」「だが、その伝統は急速に失われている」「その原因は、戸外で子供たちが遊ばなくなった」と指摘しています。
同感である。自分の子供の頃を思い出しても、草木も虫も鳥も魚も、生き物はもっともっと身近だった。興味を持つ持たないに関わらず、それに触れ、囲まれ、季節を感じていた。普通にあった身の周りの自然は大きく変わった。現代は、むしろその変化を意識することから始めないといけない。楽しむことに、生活に取り入れることに、触れることに、努力が必要な時代なのかもしれない。
130字の制約の中に込められた筆者の思いは、現在も「朝日新聞」の朝刊で続いている。著書としては、その続編も発刊されている。
『愛蔵版 花おりおり その二』
『愛蔵版 花おりおり その三』
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